人生の本当の勝者は「何歳になっても元気でバリバリ現役でいたい!」という人だけ、この先を読み進めてください。
「太く短く」という人生哲学を持つ人にとっては、もしかしたら、この連載はむしろ「悪い記事」に映るかもしれません。
なぜなら、これは「健康」を人生の最重要課題と位置づけ、100歳まで心も体も現役でいるための、僕自身の思考と実践を記録する物語だからです。
はじめまして!
この連載「クレイジーマラソン道」の案内人、伊賀ちゃんと申します。今日から皆さんと一緒に、僕が人生をかけて挑戦している、壮大なプロジェクトの物語を紡いでいきたいと思います。
その究極の目標は、「100歳でフルマラソン完走」です。
「そんなのクレイジーだ!」そう思われた方もいるかもしれません。まさにその通り。でも、この「クレイジーマラソン」は、単にフルマラソンを完走するというだけの話ではありません。その背後には、僕の人生そのものを貫く哲学が隠されています。それは、「日本人男性の平均寿命をはるかに超え、90歳。100歳になっても元気でバリバリと仕事をこなし、人生を謳歌してこそ真の勝利者である」という強い信念です。
僕は、ただむやみに長生きがしたいわけではありません。誰かの世話になりながら、ベッドの上でただ時間を過ごすような長寿に意味はないと思っています。いつまでも自分の足で歩き、自分の頭で考え、心も体もバリバリに元気でいられること。それこそが、僕が本当に目指す「長生き」の姿なのです。
「娘の涙」から始まったクレイジーマラソン道
僕の「クレイジーマラソン」への道が始まったのには、いくつかの忘れられない出来事があります。
一つ目は、今からおよそ10年前、僕が46歳の時のことです。当時、小学校低学年だった娘と、福島県にある大きなプール施設「ハワイアンズ」へ遊びに行きました。娘が一番楽しみにしていたのは、親子二人乗りのウォータースライダー。ところが、乗り場に着くと係員さんから「お父さん、体重計に乗ってもらえますか?」と。聞けば、安全のために80kg以上の大人は乗れないというのです。
僕は身長172cm、20代の頃は60kg台前半だったのに、運動不足と毎日の会食続きで体重が増えているのは自覚していました。自分の感覚では「76kgくらいで踏みとどまっているはずだ!」と自信満々に体重計に乗ったのですが、目に飛び込んできたのは「80kgオーバー」の数字。不覚にも僕の体重制限のせいで、娘の楽しみを一瞬で奪ってしまったのです。
娘が不安そうな顔で僕を見上げる姿、そしてその瞬間に楽しみを奪ってしまったあの悲しい表情は、今でも脳裏に焼き付いています。「来年こそは必ずリベンジする!」その誓いを胸に、僕はランニングを始めました。
大学時代に少し草野球をしていた程度の僕には、陸上運動の経験は全くありません。30代、40代とまったく運動していなかった体は、たった100m走っただけでスネが痛くなり、走るのをやめてしまいました。「こんなに走れないものか!」あの時の衝撃は忘れられません。そこから僕のランニング人生がスタートしたのです。娘の悲しい顔を思い出しながら、翌日は200m、その次は300mと少しずつ距離を伸ばし、いつしか1km、5km、そして10kmと走れるようになりました。そして、約束通り翌年の夏、娘と二人で念願のウォータースライダーに乗ることができたのです!
二つ目のきっかけは、その頃に巻き起こった社内のランニングブーム。当時46歳で役員を務めていた僕は、若手が多い社内では最年長。役員会議でもランニングの話題が頻繁に出る、いかにもベンチャーらしい活気にあふれた雰囲気でした。もし娘との一件がなければ、僕は尻込みしていたかもしれません。しかし、僕はもう走り始めていました。娘のために!そのモチベーションは、誰にも負けない強いものでした。会社のランニングブームにもうまく乗ることができ、最初の数回は会社の後輩たちと一緒にフルマラソンを走れるまでになったのです。
そして、三つ目のきっかけは、マラソンを単なる運動習慣から僕の人生哲学へと昇華させた決定的な出来事です。僕には一人娘がいます。娘がまだ小学校低学年だった頃、妻から「自分は一人っ子だから、パパとママが死んじゃったら、自分は一人ぼっちになってしまう」という不安を抱えていると聞かされました。様々な感情が渦巻いた末に、僕が出した結論はただ一つ。
「いくつになっても元気でバリバリと長生きして、娘と少しでも長く人生を共にすること」
でした。もし僕が100歳まで生きられたら、娘は62歳になります。それくらいまで元気で長生きできれば、娘に対する一方的な贖罪の気持ちも薄れるだろうし、自分自身の人生も心から満足できたと胸を張れるに違いない。そう確信したのです。
僕は長寿の遺伝子も備わっていると自負しています。祖父母4人の没年齢は、102歳、97歳、92歳、91歳。両親も現在85歳(2025年時点)で、大きな病気もなく元気に過ごしています。まさに僕は「長寿業界のサラブレッド」だと確信しているのです。
これらの経験と確信から、僕は「100歳になってもバリバリの現役でいること」を人生の目標とし、その一つの健康法として「走ること」、そして「100歳でフルマラソン完走」という具体的な目標を掲げるに至ったわけです。
「己を知れ!」という、僕のランニング哲学
「目標はあくまで100歳での完走。でもやるからには常に自己ベスト更新を目指し、『昨日までの自分を超える』精神を持つ。」
この二つの目標は、一般的には矛盾しているように見えるかもしれません。しかし、僕の中では、これは決して矛盾した考え方ではありません。むしろ、「己を知れ!」という僕の哲学に基づいて、緻密に練り上げられた当然の「戦略」の結果なんです。
世の中には、健康に関するたくさんの情報や専門家の意見があふれています。しかし、僕が本当に大事だと考えているのは、「どれが正しい情報かを見極めること」だけではありません。 もっと根本的で、もっと大切なことがあります。それが、自分のことをとことん突き詰めて知る「己を知れ!」なんです。
僕がなぜ、この哲学に行き着いたのか。それを証明する二つの具体的なエピソードをお話しましょう。
一つ目は、僕が「怠け者」であるという自己分析から導き出した、僕なりの「適度な運動」の定義です。
一般的に、健康寿命を延ばすためには、「食事」「適度な運動」「質の高い睡眠」の3つが大事だと言われていますよね。これは異論のないことだと思います。問題は、この中の「適度な」運動です。
もし「適度な」運動を自分一人で続けられるなら、マラソン大会のような短期的な目標は必要ないのかもしれません。でも、僕はコロナ禍でマラソン大会がなくなった時期に「自分にはそれは無理だな」という結論に達しました。なぜなら、僕は基本的に怠け者だからです。
怠け者の僕が、「健康寿命を延ばす」という、とても抽象的な目標のために、「適度な」運動を毎日続けることなんて、できるわけがなかったんです。フルマラソンを何度も完走できるくらいの体力を身につける、という具体的な短期目標があってこそ、僕にとっての「適度な」運動が可能になる。これが、「己を知る」ということでした。
だからこそ、マラソン練習でよく行われるインターバル走やペース走は一切やりません。なぜなら、そんな苦しい練習では、たとえ一時的に走力が伸びたとしても、僕という人間には100歳まであと44年(2025年時点)という長い期間、絶対に続けられないと知っているからです。
サブ3.5(3時間30分切り)を達成した時も、週1回の4km閾値走が唯一のスピード練習でした。この練習は平均すると、サブ3.5のペース(1km約4分58秒)よりもやや速い、1km約4分50秒程度です。それでもサブ3.5を達成できたのです。この練習スタイルは、まさに「己を知れ!」という哲学から生まれた、僕なりの勝利の方程式なのです。
そして、走り始めてまもない頃から持っているマラソンに関する「座右の銘」も走力向上にかなり貢献していると思っています。一般的にはかなり常識はずれな考え方と練習方法ですが、それでも僕は、サブ4➡︎サブ3.5と着実にタイムアップしているんです。
その「座右の銘」に基づく、練習方法が、基本的にスピード練習はしない!ということなのです。唯一のスピード練習が週1回、4kmの閾値走というわけなんです。
僕のマラソンにおける「座右の銘」は次回以降で詳しく話したいと思います。
科学が証明する「運動」の絶大な効果
さて、ここからは、僕の哲学を裏付ける科学的な話を少しだけお伝えしましょう。
多くの人が「運動は体に良い」と漠然と知っていますが、なぜそう言われるのか、その具体的な理由を深く掘り下げたことはありますか?最新の科学は、この「運動」というシンプルな行為が、私たちの体、そして人生全体にどれほどの計り知れない恩恵をもたらすかを次々と明らかにしています。
中でも、運動が私たちの健康に与える最大の恩恵の一つが、「生活習慣病の予防」です。
生活習慣病とは、糖尿病、高血圧、脂質異常症など、日々の生活習慣が原因で起こる病気の総称です。これらは自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳卒中といった、命に関わる大きな病気を引き起こす原因となります。
しかし、運動はこれらの病気を防ぐための最強の「薬」となり得ることが、多くの科学的研究によって証明されています。
例えば、運動は体の細胞がブドウ糖(エネルギー)を上手に使えるようにする「インスリン」の働きを改善します。これにより、血糖値が安定し、糖尿病のリスクを下げることができます。また、運動によって心臓が強くなり、血管の柔軟性が保たれるため、血液の流れがスムーズになります。これは、高血圧や動脈硬化を防ぐ上で非常に重要な効果です。
つまり、運動はただ体を鍛えるだけでなく、「細胞の働き」や「血管の状態」といった、私たちの健康を根っこから支える部分に直接働きかけているのです。
まとめ:科学と哲学が交差する「クレイジーマラソン道」
「100歳でフルマラソン完走」という僕の目標は、単なる無謀な挑戦ではなく、科学的根拠に基づいた「健康長寿」への確固たる戦略です。 そして、その戦略の土台にあるのが、他人の意見に惑わされず、自分の心と体を徹底的に見つめ、理解する「己を知れ!」という哲学です。
この連載では、これからも僕自身のランニング実践と、そこから生まれた独自の哲学を、科学的な知見を交えながら、皆さんに包み隠さずお伝えしていきます。
さて、次回からは、いよいよ僕の「クレイジーマラソン」の具体的な実践方法について、一つずつ深く掘り下げていきます。
連載開始日:2025年9月9日
現在の月間走行距離:2025年6月は473km
年齢:56歳
目標:100歳でフルマラソン完走
最新のフルマラソン自己ベスト:3時間28分04秒(2025年3月びわ湖マラソン)
フルマラソン完走回数:38回(出場39回、途中棄権1回)
47都道府県フルマラソン大会制覇数:18/47
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