第6章: 養生訓における身体と環境の調和

『養生訓』では、身体と環境の調和が健康を保つために非常に重要だと説かれています。益軒は、人間は自然の一部であり、自然との調和を保つことが健康の秘訣だと考えていました。この章では、益軒が教える身体と環境の調和について、現代にも活かせる視点で解説していきます。

●1. 自然との調和を大切にする

益軒は、人間の身体は自然から来たものであり、自然との調和を保ちながら生きることが健康のために不可欠だと教えています。彼は、天候や季節の変化に合わせて生活することが、健康を保つために重要だと強調しています。

例えば、季節に応じた食事や服装を選ぶことが、身体にとって負担を減らす方法だとされています。夏の暑い季節に重たい食事を取るのではなく、軽くて消化に良い食べ物を選ぶこと、また寒い冬に適切な防寒をすることが、自然との調和を保つための生活だと益軒は説いています。

現代の私たちも、季節や天候に合わせて生活を調整することで、体調を整えることができます。例えば、夏には冷たい食べ物や飲み物を避け、温かいものを摂る、冬には暖かい服装をし、体を冷やさないようにするなど、季節ごとに気をつけるべき点はたくさんあります。

●2. 生活のリズムを自然に合わせる

益軒は、自然のサイクル、つまり昼と夜、季節の変化などに合わせて生活することが健康にとって非常に大切だと考えました。彼は、規則正しい生活リズムを守ることが、心と体の調和を保つために必要だと教えています。

現代の生活では、仕事や学校、家事に追われる中で、生活リズムが乱れがちですが、益軒の教えを参考にすることで、心と体のバランスを整えることができます。例えば、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることで、体内時計を整えることができます。さらに、昼間には適度に体を動かし、夜はリラックスして早めに休むことが、健康的な生活を送るための鍵となります。

●3. 食事と環境の調和

『養生訓』では、食事が健康に与える影響についても詳しく書かれていますが、食事を自然なものにすることが大切だとされています。益軒は、自然で新鮮な食材を摂ることが、身体にとって最も良いと考えていました。また、食べ物はその季節に合ったものを選ぶことが重要だと教えています。

現代においても、私たちは便利な食べ物を簡単に手に入れることができますが、益軒が教えたように、季節に合わせた食事を心がけることが、健康を保つために役立ちます。たとえば、冬には温かい鍋料理やスープを食べ、夏には冷たい野菜を多く取り入れるなど、旬の食材を取り入れることが、体調を整える助けとなります。

●4. 物理的環境と精神的環境の調和

益軒は、物理的な環境だけでなく、精神的な環境にも注意を払うべきだと教えています。例えば、騒音や汚れた環境は、心身にストレスを与える原因となります。心を落ち着け、健康を保つためには、静かで清潔な環境を整えることが大切だと説いています。

現代においても、生活環境を整えることが、心の健康に直結します。たとえば、仕事や勉強の合間に静かな場所でリラックスする時間を作ることや、寝室を快適で静かな空間にすることが、良い休養を取るために大切です。さらに、心地よい音楽を聴いたり、自然の中で過ごす時間を持つことが、精神的な安定に繋がります。

●5. 環境に優しい生活

益軒が生きた江戸時代には、私たちが使うような現代的な環境問題は存在しませんでしたが、自然と調和した生活は、今でも非常に重要です。地球温暖化や環境汚染などが進行する現代においても、環境に優しい生活を心がけることが、私たち自身の健康に良い影響を与えることが分かっています。

例えば、無駄な消費を控え、エネルギーを節約すること、リサイクルを心がけること、そして自然素材のものを使うことが、私たちが健康を保ちながら環境にも配慮するためにできることです。益軒が教えたように、自然との調和を大切にすることが、現代社会でも非常に大切なことであることを忘れてはなりません。