第8章: 養生訓における医者の選び方と治療法

『養生訓』では、医者を選ぶ際のポイントや、治療法についての考え方についても触れられています。益軒は、健康管理を医者任せにするのではなく、自分自身で適切な判断をし、医者を選ぶことが大切だと説いています。この章では、益軒の教えを元に、医者の選び方と、治療法に関する考え方について解説します。

1. 良い医者とは?

『養生訓』で益軒が最も強調しているのは、医者を選ぶ際には、その人の人間性を重視すべきだということです。益軒は、医者が病気を治すためだけの技術や知識を持っているだけでなく、人間としての徳が備わっていることが大切だと考えました。具体的には、病人の気持ちに寄り添い、丁寧に話を聞き、適切な治療を行うことができる医者を選ぶべきだとしています。

現代においても、医者を選ぶ際には、単に技術や知識だけでなく、患者への対応や共感力、信頼できる人柄を重視することが大切だとされています。益軒の教えは、現代においても非常に重要な指針となります。

2. 医者との信頼関係

益軒は、医者と患者との信頼関係を築くことの重要性についても述べています。良い医者は、患者とのコミュニケーションを大切にし、治療の過程を患者にわかりやすく説明することが求められると考えました。医者と患者が信頼し合い、共に治療に取り組むことが、健康回復への近道だと説いています。

また、益軒は、医者が一方的に治療を押し付けるのではなく、患者が自分の体調を理解し、納得した上で治療を受けることが大切だと教えています。現代においても、医師と患者の信頼関係が、治療の成功に大きく影響することはよく知られています。

3. 予防と治療の考え方

『養生訓』では、治療を受けることだけでなく、予防の重要性も強調されています。益軒は、病気になる前に予防をし、体調が悪くなったときには適切な治療を受けることが健康維持にとって最も大切だと考えました。治療法については、薬を使うことだけに頼らず、生活習慣を整え、心と体のバランスを取ることが重要だとしています。

現代医学でも、予防医学が非常に重視されており、病気の治療よりも予防に力を入れることが、長期的に見て健康を保つために重要だとされています。益軒の教えは、まさに現代の健康管理にも通じる内容です。

4. 薬の使い方

『養生訓』では、薬の使用に対して非常に慎重な態度が示されています。益軒は、薬を使うことは必要最小限に留めるべきだと考え、**薬は「必要悪」**として扱っています。薬を使う前に、まずは生活習慣を改善し、体調が整うように努めるべきだと述べています。

現代においても、薬の乱用を避けることが重要だとされています。薬は症状を緩和するために有効ですが、病気を根本から治すためには生活習慣の改善が必要不可欠です。益軒の教えは、現代でも非常に有益なアドバイスと言えるでしょう。

5. 鍼灸や自然療法

『養生訓』では、鍼灸やその他の自然療法も治療法として紹介されています。益軒は、薬だけに頼らず、自然の力を活用した治療法を大切にしています。例えば、鍼灸やマッサージは、体調を整えるための有効な手段として活用されるべきだと考えています。

現代でも、鍼灸や整体、アロマセラピーなどの自然療法が注目されており、これらは薬の副作用を避けるための代替療法として活用されています。益軒の治療法に対する考え方は、現代の健康管理にも非常に影響を与えています。

まとめ

『養生訓』における医者の選び方と治療法は、患者と医者の信頼関係を大切にし、予防医学と生活習慣の改善を重視するという考え方に基づいています。益軒は、医者に頼りきりになることなく、自分自身で健康を管理し、治療法についても生活習慣を整えることを優先するように教えています。現代においても、予防と自然療法の重要性を再認識し、信頼できる医者と共に健康を維持することが大切だと言えるでしょう。